大会長挨拶
歯科保存学のイノベーション
-健口寿命延伸への貢献-
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日本歯科保存学会 徳島大学大学院医歯薬学 |
このたび令和7(2025)年6月5日(木),6日(金)の2日間にわたり,日本歯科保存学会2025年度春季学術大会(第162回)を愛媛県県民文化会館において開催いたします。
今大会のメインテーマは,「歯科保存学のイノベーション-健口寿命延伸への貢献-」といたしました。本学術大会開催中,大阪では「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとした万博が開催されます。歯科保存学が対象とする「う蝕・歯内疾患や歯周病」は,単なる口腔内疾患にとどまらず,さまざまな全身疾患に加えて,オーラルフレイルやそれに引き続くフレイルとの関連も示されており,「いのち輝く未来社会」において,歯科保存学・治療学における革新的な技術や発想による新たな価値が,健口寿命延伸に貢献すると信じております。本大会が,皆様と歯科保存学の革新的な価値を創造・創出できる場にしたいと考えております。
大会プログラムは,特別講演1として,細胞老化とセノリティックスに関する分野において第一線で活躍されております高橋暁子先生(がん研究所細胞老化研究部)に、また特別講演2として,希少疾患先天性無歯症患者の欠損歯を再生する新規抗体医薬品「歯生え薬」の研究開発と臨床研究へのアプローチについて高橋 克先生(北野病院)にご講演いただく予定です。
シンポジウムIは,学会主導型シンポジウムとして「保存治療のイノベーションを目指した研究開発」:光イノベーションが創出する次世代歯科治療・矢野隆章先生(徳島大学ポストLEDフォトニクス研究所),3Dプリンターを応用した新しい外科的歯内療法・鷲尾絢子先生(九州歯科大学口腔保存治療学分野),歯肉幹細胞由来エクソソームを用いた新しい歯周治療・福田隆男先生(九州大学病院歯周病科),国民皆歯科健診に向けた新たな歯周病検査・稲垣裕司先生(徳島大学病院歯周病科),シンポジウムIIは,「高齢者の口腔内変化を考える-2040年問題に向けて-」:健康寿命延伸とオーラルフレイル・上田貴之先生(東京歯科大学老年歯科補綴学講座),エピジェネティクスと歯科医療・安彦善裕先生(北海道医療大学歯学部生体機能・病態学系臨床口腔病理学分野),老化が及ぼす歯髄変化・糸山知宏先生(九州大学歯科保存学分野)と歯周病が老化に及ぼす影響・四釜洋介先生(国立長寿医療研究センター口腔疾患研究部)シンポジウムIIIは,「歯科保存領域における臨床テクニックのイノベーション」:保存修復治療・田代浩史先生(田代歯科医院),歯内療法・神戸 良先生(良デンタルクリニック)と歯周治療・浦野 智先生(浦野歯科診療所)を企画しております。
さらに,認定研修会,認定歯科衛生士教育講演(高橋 啓先生・たかはし歯科,ヘルスケア歯科学会代表),歯科衛生士シンポジウム,ランチョンセミナー,一般口演・ポスター,市民公開講座なども企画・準備しております。詳細につきましては,今後,ホームページにてご案内いたします。
穏やかで美しい瀬戸内海に面した松山市は,一年を通じて温暖な瀬戸内海気候であり,古事記や日本書紀にも登場する日本最古の名湯・道後温泉や全国的にも貴重な江戸時代から残る天守を有する重要文化財・松山城を有し,近代俳句の礎を築いた正岡子規や夏目漱石も過ごしたことからも「いで湯と城と文学のまち」と言われているほど文化的魅力も豊富であり,古くから四国遍路の「おへんろさん」を迎えてきたことから,温かく迎え入れる「おもてなし」も息づいております。学術大会会場である愛媛県民文化会館は,これらの名所へのアクセスも良い場所となっております。スタッフ一同,全力で準備に取り組んでおります。海と山に囲まれ,食材の宝庫であり,自然,歴史,文化や芸術などさまざまな魅力に満ちた松山市で,全国から多数の皆様のご参加を心よりお待ち申し上げます。